光線照射は身体のどの部位にも適応可能
光線研究 第444号
陽性反応をよく理解し、自分の症状に合った治療部位をみつける工夫も大切
光線照射の基本的な部位は、光線療法の解説書「遺伝と光線」のなかに光線照射局所写真解説として記載されています。
基本的な部位は51ヵ所となっていますが、この他にも実際の治療においては病状に合せて照射する部位はいろいろあります。
光線治療では原則として光線を照射していけない部位はありません。
頭部や心臓に近い前胸部なども照射してもかまいません。
眼についても照射時にまぶたを軽く閉じていれば問題はありませんが、実際の治療に際しては次のような二点について配慮が必要な場合があります。
1、治療初期は体質や性格などの個人差によって照射して不快感が出やすい部位があります。
比較的出やすい部位は後頭部でしょう。
後頭部を照射すると首すじや頭が重くなったりして、不快に感じることがあります。
このような場合は後頭部の照射を中止して、代わりに後頭部より下の部位である頸椎下部を照射するか、あるいは左右咽喉部を照射するとよいでしょう。
この反応は神経質な人や高齢者にみられることがありますが、多くの例では治療の継続によって自然となくなります。
2、治療初期は陽性反応がでやすい病気があります。
一番よく知られているのは胃下垂の治療における腹部と腰部の照射です。
胃下垂の人は腹部・腰部を照射すると大変気持ちよく感じますが、腹部と腰部の照射を続けると治療後に吐き気や胃のもたれなどの胃部不快感、動悸、腹痛がみられることがあります。
この初期反応が胃下垂でもかなりの重症の場合にみられ、腹部・腰部の照射によって腹部に血液が集まり急速に胃腸の動きがよくなるためにこのような反応がでます。
したがって、重症例では間接的な治療をまずしっかり行った上で、腹部・腰部の照射を追加することが治療のポイントとなります。
ただし比較的体力があって日頃から胃下垂の症状が強くない場合は、腹部の代わりに左右下腹部の部位を照射すると治療初期からうまく治療することができます。
慢性気管支炎や気管支喘息などの呼吸器疾患では、治療初期に左右咽喉部と肩甲骨間部を照射すると咳や痰が多くなります。
これらの反応の多くはよい反応ですが、気になる場合はしばらく左右咽喉部・肩甲骨間部のいずれか一つのみ治療するとよいでしょう。
以上がよくみられる陽性反応と陽性反応がでやすい病気ならびにその対策です。
★肩・頸・背中が重く凝っているときは、後頭部、頸椎下部、肩甲骨間部のような部位を照射することが一般的ですが、各自の症状に合わせて後頭部の代わりに左右乳様突起部を照射したり、あるいは凝っている部位を直接照射するとよいことがあります。
また頸椎下部の部位も右か左に少しずらして照射すると大変気持ちよいことがあります。
★腰痛の場合は腰部のほかに腰上部を照射しますが、この腰上部を右か左にずらして照射すると痛みによいことがあります。